こんにちは。「&commons 生活と芸術のためのネットワーク」です。
この記事では、『&commons』というコレクティブ名の意味と、ロゴマークに込めた想い、そしてメンバー全員で取り組んだロゴデザインの制作プロセスを公開します。
&は等位接続詞であることから、人とコモンズ(共有財産としてのネットワークや知識)を接続し、アーティストがさまざまな場面で対等な関係を築いていくために活動していくことを意味します。
そんな私たちを表すロゴマークは、黒と白の2本のロープが今まさに結ばれようとする瞬間をデザインしました。
この結び方は「引き解け一重継ぎ結び」と言い、ぎゅっと締める直前の形が「&」に見えることから着想を得ました。ロープには「commons」の文字が隠れています。
モチーフに選んだ引き解け一重継ぎ結びは、太さや材質が異なる紐同士を繋ぐ結び方であることから、多様な人々や知識を繋げること、また、簡単に解けることから、風通しのよい組織運営を心がけることを表現しています。
ロゴデザインの制作プロセス
原案:Suisui
原画:松平莉奈
デザイン:三木麻郁
補佐:權田菜美、元岡奈央
①ロゴデザインの出発点として、「引き解け一重継ぎ結び」と「&」を組み合わせるビジュアルイメージをSuisuiが発案。
②ロープの描写を得意とする松平が、墨と筆で複数パターンの原画案を描く。
引き解け一重継ぎ結びは、太さや材質が異なる紐同士を繋ぐことができる結び方ですので、2本のロープの撚り方の違いや色の違いでそれを表現しようと試みています。
③原画案の中から候補を選び、ロープの向きなど細部を協議。
バランスなどを考慮して、白ロープをクロスさせる修正案がメンバーから出されました。
④松平が白ロープをクロスさせた原画案を複数パターン描く。
ロープがどの方向からくるのかで絵の流れが変わり、印象に違いが出ます。
SNSのアイコンに使用した時のイメージも確認して、F3に決定しました。
⑤松平がF3の改正案を描く。
左上から右下に視線が流れ、しなやかで美しい原画になりました。
⑥原画をもとに、三木がデザイン化。
デザインとして様々な可能性が示され、各媒体での使い勝手や原画の活かし方に焦点をあて全員で協議しました。
その中で、コレクティブ名の中にある「芸」の字を、「芸」と「藝」のどちらの漢字を使用するのか、議論が巻き起こりました。
実は、「芸」は単に「藝」の新字体であるだけでなく、全く逆の意味を持つ単語でもあるのです。
「芸」:農業用語。刈る、くさぎる、草を刈り取ること。
「藝」:ものを植える、植える、うえる、増やす。人間精神において内的に成長してゆく或る価値体験を種えつける技。
もともと、artを翻訳するために明治時代に「藝術」という言葉が作られました。作られるにあたって、中国の『論語』などの書を参照し、「人間の精神によい種を植える」というような意味を込めて「藝」という言葉を用いたそうです。
漢字の簡略化に伴って、旧字体である「藝」は使われなくなり、「芸」が”代用”されるようになりました。漢字の意味を追えば、単なる旧字体・新字体では見分けられない意味が込められているのです。
さて、メンバー内でもコレクティブ名にふさわしいのは「藝」なのか、もしくは「芸」なのか、意見が割れました。
最終的には、「藝」のもつ良い意味も大切ではあるものの、視認性や活動の広がりを考慮して、常用漢字を使用したシンプルな名前であることの有用性に重きを置くことにしました。
日本語が第一言語ではない人など、様々なバックグラウンドを持つ人たちの見やすさ・読みやすさ・親しみやすさを考えると、新字体の「芸」を使うのも優しさだと思う、というのが、対話し尽くした末に辿り着いた私達の結論です。
また、この段階で色は黒(K100)とすることと、ロープの中にcommonsの文字を入れ込むデザインに決定しました。
⑦細部をブラッシュアップ。
ロープの絵として見ると、ピンクの丸で囲ったような、ささやかなあしらいが美しさに感じるのですが、マークとして考えると視認性が気がかりです。
デザイン的な視点で、加筆したり引き算したりしてバランスをとりました。
⑧完成!
お気に入りのロゴマークになりました。
英語版もありますよ。
お問い合わせは&commonsの公式メールまで and.commons@gmail.com