『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』翻訳プロジェクトとコンテンツ警告
クリエイティブ・インターベンションズは、暴力の解決策を求める人々の選択肢を広げることが目的の米国発の団体であり、コミュニティです。警察や公的福祉に頼れない状況で起きる暴力も射程に置き、加害者を排除しない方法で、個人やコミュニティが健全に変化を遂げるための手法を分かち合っています。
クリエイティブ・インターベンションズとそのコミュニティによって書かれたのが『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット:対人暴力を止めるための実践ガイド』です。
私たち&commonsは『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』の翻訳プロジェクトを進めています。日本語翻訳版をこのブログで公開していきます。
この本が役に立つ人たち
(『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』第1章3節より)
・暴力が起きている状況に関係する人々
・コミュニティのなかのアライ
・害を与える人(加害者)
・暴力に反対する団体
・社会事業団体、信仰に基づく機関/団体/教会など、コミュニティ・センター、政治団体、組合、スポーツ・チーム、学校、保育所、企業などに加え、人々が共に生き、働いたり礼拝したりと何らかの活動に参加するその他の団体
コンテンツ警告
この本では、トラウマやPTSDなどのトリガーとなるコンテンツ(内容)が書かれています。以下の項目に関連する用語が使用されていたり、具体例が掲載されている場合があります。ご自身の体調に合わせて無理なく読み進めてください。
→性差別や性暴力
→ドメスティック・バイオレンス(DV)
→虐待
→人種に基づいた差別や暴力
『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』の読み方
この本は説明書のように使用することも予想されています。初めて使う機械の説明書のように、自分に必要な箇所から読むことをお勧めします。
例えば「1.0 はじめに」を読んでから「1.3 ファシリテーターの役割」のページを読み、「1.8 対人暴力に対するコミュニティ・ベースの介入とは何ですか?」を読むなどです。
原著、他言語訳版のご紹介
日本語翻訳版はできた順に掲載していきますが、&commonsメンバーたちが素人ながら自分たちの学びも兼ねて少人数のチームで挑戦していることから、ゆっくりの更新になると思います。原版の英語とスペイン語訳版が無料で全文PDFにてダウンロードできますので、気になる方はぜひ読んでみてください。ちなみに英語は、移民や英語が第一言語ではない人やコミュニティを想定して書かれているので比較的シンプルで読みやすいです。
ダウンロードはこちらから。
https://www.creative-interventions.org/toolkit/
展望
ひとまずはブログで翻訳を公開していきますが、PDFでダウンロードしやすい形で発表したり、先々はZINEなどの手に取れる媒体を作っていきたいと考えています。
また、クリエイティブ・インターベンションズのウェブサイトでも日本語翻訳版が掲載される予定です。
どうぞ楽しみにお待ちください!翻訳がんばります~!
お問い合わせは&commonsの公式メールまで and.commons@gmail.com
『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』1.8_5このツールキットについてのよくある質問
1.8は長いので、7本の記事に分けてお届けします。
この記事は1.8_5で、このセクションは1.8_7まで続きます。
今回はQ13~Q14の翻訳をご紹介します。
コンテンツ警告
この本では、トラウマやPTSDなどのトリガーとなるコンテンツ(内容)が書かれています。以下の項目に関連する用語が使用されていたり、具体例が掲載されている場合があります。ご自身の体調に合わせて無理なく読み進めてください。
→ドメスティック・バイオレンス(DV)
→虐待
→性暴力
Q13:私はコミュニティ・ベースの介入に参加するよう求められています。しかし正直なところ誰が被害者で誰が害を与える人なのかよくわかりません。
時として、誰が危害のサバイバーや被害者で、誰が害を与える人なのかはっきりしないことがあります。誰かが嘘をついているかもしれません。サバイバーも害を及ぼすような行動をしているかもしれません。場合によっては、その加害は相互的で、お互いにとって加害性がある可能性もあり得ます。よくあるのは、対人関係の中で産まれる加害は閉ざされた場で行われ、そういったプライベートな空間では、私たちは何が起こったのかを「見る」ことができず、それが一方の言い分対、もう一方の言い分のように感じられるかもしれません。私たちは、誰がサバイバーで誰が害を加えている人なのか確実に見分ける方法を持ちえないのです。しかし私たちは、サバイバーが「完璧な被害者」であることを期待してはいけません。
ときによっては自己防衛のために、サバイバーも虐待的に見えるようなことをするかもしれないし、暴力的に見えるふるまいもするかもしれません。
私たちは権力と支配の「パターン」に着目しています。まずは誰がより大きな支配権を持ちえ、より権力を操作しやすく、誰が行った虐待が正当化されやすいか。そして誰がその虐待を隠すことを可能にしやすいのか。そうした点を私たちは見ています。したがって男性の特権は、女性や少女たちに向けた男性的な暴力をふるう際の常習的な権力のバランスが依然として存在しています。市民や、永住権を持つ人々が、しばしば彼らが持つ米国でのより安定した地位を利用して、無登録であろう人々や、他者に滞在資格や福祉を左右されるであろう人々を支配したり侵害することがよくあります。より高い収入や地位を持つ人たちは、それを利用してより資源を持たない人たちの権利を支配し、侵害することがあります。健常者が障がいのある人々の権利を侵害するのと同じことです。
ホモフォビア*1やトランスフォビア*2、あるいはレズビアンやゲイ、バイセクシャル*3、トランスジェンダー*4やクィア*5の人々(LGBTQ)への恐れや嫌悪を煽る人々は、その脆弱性に対する優位性をLGBTQの人々を脅迫し虐待するために使うのです。
しかしながら、暴力はこのように一方的な方向で常に行われるわけではありません。社会の中でより脆弱性の高い立場にある人が、より加害的な行動をとるのはあり得ることなのです。権力と加害の力関係は、上段で説明したようなような優位性に基づいて起きる傾向にありますが、全ての状況がそうではありません。
こうした権力のバランスは、誰がサバイバーで誰が害を与える人なのか見極める際に、混乱をもたらすかもしれません。これを理解することは、虐待の力関係を私たちがより深く理解する上での助けになるでしょう。
第2章2節「対人暴力:みんなが知っておくべき基礎知識」を読むとさらに理解が深まります。より多くの情報とツールが誰がサバイバーで誰が害を与える人なのかといったことを含んだ暴力の力関係をより明確に理解できるかもしれません。
第4章A節「明確にする」と、第5章6節「暴力と虐待を識別する」これは虐待サバイバーのバイセクシャル、トランス、レズビアン、ゲイによる北西部ネットワーク(The Northwest Network of Bisexual, Trans, Lesbian and Gay Survivors of Abuse)、略称:北西部ネットワーク(The NW Network) によって執筆されたもので、誰がサバイバーで誰が害を与える人なのかという混同しがちな暴力の力関係を理解するのに役立つかもしれません。
Q14:私はアライとしてアカウンタビリティに関わっていますが、何をしているのか、なぜそうするのかについて、多くの戸惑いを感じています。これ以上サポートできるかどうか自信がありません。
暴力への介入に関わっている人のほとんどが、一般的に、暴力を終わらせ人々の癒しを望んでいるのですが、時として達成するための最良の道のりについては意見が合わないのです。
このツールキットは、暴力への介入には全員が同じものを望んでいると考えて多くの人々が参加してきますが、実際には、ゴールやそこにどう至るかがいちばん良い方法なのかについては、非常に多様な意見を持っているという事実を考慮しようとしています。また、いちばんスムーズな介入においても、恐れや罪悪感、非難など強い感情がしばしば含まれるのです。そういった感情は私たちを疑り深くしてしまうものです。自分たちが感情のジェットコースターに乗ったような気分になるでしょう。私たちは自分たちが何を考えるのかについての意見を変える可能性があるのです。
このツールキットは共同的なプロセスを支援している一方で、各個人は何が正しく、何を信じていているか、そして各々どのようにプロセスに関わりたいか、もしくはプロセスで役割を果たしたいかについての限度があることについて、それぞれ固有の感覚を持っているでしょう。これは時間制限のようにシンプルなことです。たとえばどのくらいの時間をプロセスに割きたいと思っているか、そしていつ彼らが参加可能であるのか。どのように物事は運営されるべきかといった思考体系の観点から見るとより深いものになるでしょう。
このツールキットは、何が指針となる行動規範なのか、介入してたどり着きたいゴールは何なのか、個人の限度や私たちが「最低ライン」呼ぶものはどこなのかについて思慮深くあろうとすること、そして自分自身と他者に誠実であろうとすることを人々に奨励しています。暴力のダイナミクスとグループとしてとる行動のポジティブな実現性について、実際に誰かの考えを変え、学びを与える可能性があるので、このツールキットではお互いに議論し、グループとしての結論を見つけることも奨励しています。このツールキットは、ひとりきりで行う行動や、グループ内のコミュニケーションをお互いに取らずに行われる支離滅裂な行動よりも、グループでのディスカッションとその結果得られる行動がより良い結果を生む可能性があるという確信を信頼しています。気軽なディスカッションを公開ですぐにでもやってみるのがベストです。そうすることによって、明快なコミュニケーションに基づいて結論が出されるでしょう。関わることができなくてもそのプロセスにおいて何かを決めることは依然として可能でしょう。なぜなら役割を担わない人たちは単純に時間や元気がないだけか、または意見の不一致が極端すぎるからです。そのような人々が役割を担える可能性もあります。しかしそのためには、彼らは考えを(全てではなくとも)切り替えて役割を担う必要はありますが、能力や考え方に沿ってより良く役割を担えるでしょう。
第4章C節「アライと障壁をマッピングする」誰が助けになりえるでしょうか?ここではどんな種類の役割が適切なのかについてもっと考えることができます。
第4章D節「ゴールを定める」では、グループとしてのゴールと個人としてのゴールについて考えます。そして、全員が支持できる共通した一揃いのゴールに、それぞれのゴールを統合できるか考えます。
第4章G節「協働する」では問題を見定め、チームとして協働できる前向きな方法を見つけ出す方法を考えることができます。
訳注1:Homophobia
ホモフォビア
同性愛や同性愛者、あるいはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルであると自認する人やそう見なされる人々に対する偏見や差別、嫌悪、恐怖などの否定的な態度や感情を指す。
訳注2:Transphobia
トランスフォビア
トランスジェンダーの人々やトランスジェンダーであることに対する偏見や差別、嫌悪、恐怖、否定的な態度や行動を指す。固定的な性別観やジェンダー規範に基づく偏見や差別の一形態とされる。
訳注3:Bisexual
バイセクシャル
複数の性別に対して恋愛感情や性的魅力を抱いたり、性的関係を持ったりする人を指す。
訳注4:Transgender
トランスジェンダー
出生時に割り当てられた性別に一般的に結び付けられている性自認とは異なる性自認を持つ人を指す。性的指向とは異なる概念であり、トランスジェンダーであることは、その人がどのような性的指向を持つかを示すものではない。
訳注5:Queer
クィア
性やジェンダーのマイノリティを包括的に指す用語。もともとは「奇妙な」「風変わりな」を意味する英語で、19世紀後半からLGBTQの人々に対する蔑称として用いられてきた。しかし、1980年代後半以降、クィア・アクティビストらがこの語を中立的あるいは肯定的な自己表現として用いるようになり、現在では広く使用されている。性的指向やジェンダーを男女二元論的な枠組みに当てはめることを拒否し、あるいはその枠組みを攪乱する立場やアイデンティティを特徴とする概念でもある。
(2026年7月31日閲覧)
『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』1.8_5このツールキットについてのよくある質問
1.8は長いので、7本の記事に分けてお届けします。
この記事は1.8_4で、このセクションは1.8_7まで続きます。
今回はQ13~Q14の翻訳をご紹介します。
コンテンツ警告
この本では、トラウマやPTSDなどのトリガーとなるコンテンツ(内容)が書かれています。以下の項目に関連する用語が使用されていたり、具体例が掲載されている場合があります。ご自身の体調に合わせて無理なく読み進めてください。
→ドメスティック・バイオレンス(DV)
→虐待
→性暴力
Q13:私はコミュニティ・ベースの介入に参加するよう求められています。しかし正直なところ誰が被害者で誰が害を与える人なのかよくわかりません。
時として、誰が危害のサバイバーや被害者で、誰が害を与える人なのかはっきりしないことがあります。誰かが嘘をついているかもしれません。サバイバーも害を及ぼすような行動をしているかもしれません。場合によっては、その加害は相互的で、お互いにとって加害性がある可能性もあり得ます。よくあるのは、対人関係の中で産まれる加害は閉ざされた場で行われ、そういったプライベートな空間では、私たちは何が起こったのかを「見る」ことができず、それが一方の言い分対、もう一方の言い分のように感じられるかもしれません。私たちは、誰がサバイバーで誰が害を加えている人なのか確実に見分ける方法を持ちえないのです。しかし私たちは、サバイバーが「完璧な被害者」であることを期待してはいけません。
ときによっては自己防衛のために、サバイバーも虐待的に見えるようなことをするかもしれないし、暴力的に見えるふるまいもするかもしれません。
私たちは権力と支配の「パターン」に着目しています。まずは誰がより大きな支配権を持ちえ、より権力を操作しやすく、誰が行った虐待が正当化されやすいか。そして誰がその虐待を隠すことを可能にしやすいのか。そうした点を私たちは見ています。したがって男性の特権は、女性や少女たちに向けた男性的な暴力をふるう際の常習的な権力のバランスが依然として存在しています。市民や、永住権を持つ人々が、しばしば彼らが持つ米国でのより安定した地位を利用して、無登録であろう人々や、他者に滞在資格や福祉を左右されるであろう人々を支配したり侵害することがよくあります。より高い収入や地位を持つ人たちは、それを利用してより資源を持たない人たちの権利を支配し、侵害することがあります。健常者が障がいのある人々の権利を侵害するのと同じことです。
ホモフォビア*1やトランスフォビア*2、あるいはレズビアンやゲイ、バイセクシャル*3、トランスジェンダー*4やクィア*5の人々(LGBTQ)への恐れや嫌悪を煽る人々は、その脆弱性に対する優位性をLGBTQの人々を脅迫し虐待するために使うのです。
しかしながら、暴力はこのように一方的な方向で常に行われるわけではありません。社会の中でより脆弱性の高い立場にある人が、より加害的な行動をとるのはあり得ることなのです。権力と加害の力関係は、上段で説明したようなような優位性に基づいて起きる傾向にありますが、全ての状況がそうではありません。
こうした権力のバランスは、誰がサバイバーで誰が害を与える人なのか見極める際に、混乱をもたらすかもしれません。これを理解することは、虐待の力関係を私たちがより深く理解する上での助けになるでしょう。
第2章2節「対人暴力:みんなが知っておくべき基礎知識」を読むとさらに理解が深まります。より多くの情報とツールが誰がサバイバーで誰が害を与える人なのかといったことを含んだ暴力の力関係をより明確に理解できるかもしれません。
第4章A節「明確にする」と、第5章6節「暴力と虐待を識別する」これは虐待サバイバーのバイセクシャル、トランス、レズビアン、ゲイによる北西部ネットワーク(The Northwest Network of Bisexual, Trans, Lesbian and Gay Survivors of Abuse)、略称:北西部ネットワーク(The NW Network) によって執筆されたもので、誰がサバイバーで誰が害を与える人なのかという混同しがちな暴力の力関係を理解するのに役立つかもしれません。
Q14:私はアライとしてアカウンタビリティに関わっていますが、何をしているのか、なぜそうするのかについて、多くの戸惑いを感じています。これ以上サポートできるかどうか自信がありません。
暴力への介入に関わっている人のほとんどが、一般的に、暴力を終わらせ人々の癒しを望んでいるのですが、時として達成するための最良の道のりについては意見が合わないのです。
このツールキットは、暴力への介入には全員が同じものを望んでいると考えて多くの人々が参加してきますが、実際には、ゴールやそこにどう至るかがいちばん良い方法なのかについては、非常に多様な意見を持っているという事実を考慮しようとしています。また、いちばんスムーズな介入においても、恐れや罪悪感、非難など強い感情がしばしば含まれるのです。そういった感情は私たちを疑り深くしてしまうものです。自分たちが感情のジェットコースターに乗ったような気分になるでしょう。私たちは自分たちが何を考えるのかについての意見を変える可能性があるのです。
このツールキットは共同的なプロセスを支援している一方で、各個人は何が正しく、何を信じていているか、そして各々どのようにプロセスに関わりたいか、もしくはプロセスで役割を果たしたいかについての限度があることについて、それぞれ固有の感覚を持っているでしょう。これは時間制限のようにシンプルなことです。たとえばどのくらいの時間をプロセスに割きたいと思っているか、そしていつ彼らが参加可能であるのか。どのように物事は運営されるべきかといった思考体系の観点から見るとより深いものになるでしょう。
このツールキットは、何が指針となる行動規範なのか、介入してたどり着きたいゴールは何なのか、個人の限度や私たちが「最低ライン」呼ぶものはどこなのかについて思慮深くあろうとすること、そして自分自身と他者に誠実であろうとすることを人々に奨励しています。暴力のダイナミクスとグループとしてとる行動のポジティブな実現性について、実際に誰かの考えを変え、学びを与える可能性があるので、このツールキットではお互いに議論し、グループとしての結論を見つけることも奨励しています。このツールキットは、ひとりきりで行う行動や、グループ内のコミュニケーションをお互いに取らずに行われる支離滅裂な行動よりも、グループでのディスカッションとその結果得られる行動がより良い結果を生む可能性があるという確信を信頼しています。気軽なディスカッションを公開ですぐにでもやってみるのがベストです。そうすることによって、明快なコミュニケーションに基づいて結論が出されるでしょう。関わることができなくてもそのプロセスにおいて何かを決めることは依然として可能でしょう。なぜなら役割を担わない人たちは単純に時間や元気がないだけか、または意見の不一致が極端すぎるからです。そのような人々が役割を担える可能性もあります。しかしそのためには、彼らは考えを(全てではなくとも)切り替えて役割を担う必要はありますが、能力や考え方に沿ってより良く役割を担えるでしょう。
第4章C節「アライと障壁をマッピングする」誰が助けになりえるでしょうか?ここではどんな種類の役割が適切なのかについてもっと考えることができます。
第4章D節「ゴールを定める」では、グループとしてのゴールと個人としてのゴールについて考えます。そして、全員が支持できる共通した一揃いのゴールに、それぞれのゴールを統合できるか考えます。
第4章G節「協働する」では問題を見定め、チームとして協働できる前向きな方法を見つけ出す方法を考えることができます。
訳注1:Homophobia
ホモフォビア
同性愛や同性愛者、あるいはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルであると自認する人やそう見なされる人々に対する偏見や差別、嫌悪、恐怖などの否定的な態度や感情を指す。
訳注2:Transphobia
トランスフォビア
トランスジェンダーの人々やトランスジェンダーであることに対する偏見や差別、嫌悪、恐怖、否定的な態度や行動を指す。固定的な性別観やジェンダー規範に基づく偏見や差別の一形態とされる。
訳注3:Bisexual
バイセクシャル
複数の性別に対して恋愛感情や性的魅力を抱いたり、性的関係を持ったりする人を指す。
訳注4:Transgender
トランスジェンダー
出生時に割り当てられた性別に一般的に結び付けられている性自認とは異なる性自認を持つ人を指す。性的指向とは異なる概念であり、トランスジェンダーであることは、その人がどのような性的指向を持つかを示すものではない。
訳注5:Queer
クィア
性やジェンダーのマイノリティを包括的に指す用語。もともとは「奇妙な」「風変わりな」を意味する英語で、19世紀後半からLGBTQの人々に対する蔑称として用いられてきた。しかし、1980年代後半以降、クィア・アクティビストらがこの語を中立的あるいは肯定的な自己表現として用いるようになり、現在では広く使用されている。性的指向やジェンダーを男女二元論的な枠組みに当てはめることを拒否し、あるいはその枠組みを攪乱する立場やアイデンティティを特徴とする概念でもある。
(2026年7月31日閲覧)
『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』1.8_4このツールキットについてのよくある質問
1.8は長いので、7本の記事に分けてお届けします。
この記事は1.8_4で、このセクションは1.8_7まで続きます。
今回はQ11~Q12の翻訳をご紹介します。
コンテンツ警告
この本では、トラウマやPTSDなどのトリガーとなるコンテンツ(内容)が書かれています。以下の項目に関連する用語が使用されていたり、具体例が掲載されている場合があります。ご自身の体調に合わせて無理なく読み進めてください。
→ドメスティック・バイオレンス(DV)
→虐待
→性暴力
Q11:私は暴力の被害者であり、このツールキットにあるような支援を心から受けたいと思っています。でも頼れる人がいないんです。私を支えてくれる人が誰も思い浮かばないんです。
地域に根差した支援の形が誰しもの手に届くものではないことは事実です。米国内の多くのコミュニティにおいて人々は、ホットラインや、シェルター、カウンセリング*1
、医療センター、そして刑事司法制度の対応など、手に届く範囲の支援に頼る必要があるかもしれません。
それと同時に、より地域に根差した考え方を持ち始めると、可能性が開くのを私たちは見てきました。人々を潜在的なアライとして見れるようになり、思いもしなかったところでアライを見つけられる可能性があるのです。あなたは長期でチームに関わってくれる人を見つけられないかもしれません。しかし、短期だったり小さかったりしても、個人が価値ある役割を担ってくれる可能性があります。私たちが自分たちのことをクリエイティブ・インターベンションズ(創造的な介入)と呼ぶのは、まさに創造性こそが多くの場合必要なものだからです。決まったレシピはありませんが、創造性、柔軟性、そしてこのツールキットのような情報源から得られる小さな助けが、なんらかのかたちで介入を可能にしてくれるでしょう。それらは少なくとも目標の一部を達成する手助けとなるでしょう。
第4章C節「アライと障壁をマッピングする」は、誰が助けとなるか、そして協力者がどんな役割ができるかについてのアイデアを引き出す助けになります。
Q12:私はアライとしてアカウンタビリティのプロセスに参加していますが、時々、暴力のサバイバーに対して否定的な感情を抱いている自分に気づくことがあります。正直なところ、私はサバイバーより、害を与える人のほうに好感を持ってしまっているのです。これは普通のことですか?
暴力のサバイバーに対して私たちが嫌悪感を抱くのはあり得ることです。サバイバーたちも完璧な人間ではありません。彼らは他のみんなと同じように不完全なのです。私たちは時として彼らが「完璧な被害者」であることを想定してしまいます。つまり罪悪感に打ち勝ち、言ったことを必ず実行し、私たちが助けたときに感謝してくれるというような人たちです。
ときどき、私たちが怒ってしまうのは、彼らが害を与える人に対して複雑な心境を抱えているので、その人たちを恐れたり擁護したりと、行ったり来たりしているように見えるからです。そしてアライにとっては何をすればいいのか判断しにくくなるからです。虐待があった場合の影響と介入の難しさによって、暴力を経験してきた人はおびえたり、怒ったり、ガッカリしたり、イラついたり、疲れたり、混乱したりすることがあります。そしてそれは周囲の私たちに不愉快なものに映ることがあるのです。
危害を加える人は時によって、その人の魅力や権力、能力などの力を利用して彼らの虐待的な言動を隠したり正当化したりしようとします。
DVや性暴力といった対人暴力によくある力関係についてより理解を深めることは大切です。そうすることによって、サバイバーや害を与える人が持つ一見すると不可解な態度や行動をよくあることとしてみることができるからです。これはアライがしばしば感じる混乱を説明する助けにもなるでしょう。そして、害を与える人に対する私たちの気持ちを説明する手助けにもなります。暴力に対処し、減らし、終わらせまたは未然に防ぐために適切な行いとは、必ずしも私たちがサバイバーを「好き」であったり、害を与える人を「憎んだり/嫌ったり」することではありません。大切なのはゴールを明確にしたり、暴力と暴力への介入に関する、複雑な力関係を理解する手助けをしたりするものだということです。
第2章2節「対人暴力:みんなが知っておくべき基礎知識」では、このような複雑な感情について更に多くの情報や支援を知ることができます。こうした感情は自然なものです。しかし、私たちがサバイバーを疑ったり、害を与える人の側に立ってしまうような方向に、私たちの判断を誤らせることがあります。
第2章3節「暴力への介入:大事な教訓」に、介入の力関係についての詳しい情報があります。
第4章E節「サバイバーや被害者を支援する」に、様々な条件下でサバイバーを支援するための詳しい情報があります。
第4章F節「アカウンタビリティをを全うする」に、様々な条件下で害を与えた人がアカウンタビリティを果たすための支援について、詳しい情報があります。
訳注1:Counseling Centers
日本とアメリカではカウセリングの保険適用や手法など多くの部分で異なります。
日本よりもアメリカの方が、カウンセリングに対して敷居が低いようです。一つ目のリンクはプロへ助けを求めるときの文化的な違いについて、アジア系およびアジア系アメリカ人と、ヨーロッパ系アメリカ人の間で調査している論文です。
アートセラピーという手法も取られています。2つ目のリンクは米国のアートセラピーの団体です。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3576055/
(2025年3月30日閲覧)
『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』1.8_4このツールキットについてのよくある質問
1.8は長いので、7本の記事に分けてお届けします。
この記事は1.8_4で、このセクションは1.8_7まで続きます。
今回はQ11~Q12の翻訳をご紹介します。
コンテンツ警告
この本では、トラウマやPTSDなどのトリガーとなるコンテンツ(内容)が書かれています。以下の項目に関連する用語が使用されていたり、具体例が掲載されている場合があります。ご自身の体調に合わせて無理なく読み進めてください。
→ドメスティック・バイオレンス(DV)
→虐待
→性暴力
Q11:私は暴力の被害者であり、このツールキットにあるような支援を心から受けたいと思っています。でも頼れる人がいないんです。私を支えてくれる人が誰も思い浮かばないんです。
地域に根差した支援の形が誰しもの手に届くものではないことは事実です。米国内の多くのコミュニティにおいて人々は、ホットラインや、シェルター、カウンセリング*1
、医療センター、そして刑事司法制度の対応など、手に届く範囲の支援に頼る必要があるかもしれません。
それと同時に、より地域に根差した考え方を持ち始めると、可能性が開くのを私たちは見てきました。人々を潜在的なアライとして見れるようになり、思いもしなかったところでアライを見つけられる可能性があるのです。あなたは長期でチームに関わってくれる人を見つけられないかもしれません。しかし、短期だったり小さかったりしても、個人が価値ある役割を担ってくれる可能性があります。私たちが自分たちのことをクリエイティブ・インターベンションズ(創造的な介入)と呼ぶのは、まさに創造性こそが多くの場合必要なものだからです。決まったレシピはありませんが、創造性、柔軟性、そしてこのツールキットのような情報源から得られる小さな助けが、なんらかのかたちで介入を可能にしてくれるでしょう。それらは少なくとも目標の一部を達成する手助けとなるでしょう。
第4章C節「アライと障壁をマッピングする」は、誰が助けとなるか、そして協力者がどんな役割ができるかについてのアイデアを引き出す助けになります。
Q12:私はアライとしてアカウンタビリティのプロセスに参加していますが、時々、暴力のサバイバーに対して否定的な感情を抱いている自分に気づくことがあります。正直なところ、私はサバイバーより、害を与える人のほうに好感を持ってしまっているのです。これは普通のことですか?
暴力のサバイバーに対して私たちが嫌悪感を抱くのはあり得ることです。サバイバーたちも完璧な人間ではありません。彼らは他のみんなと同じように不完全なのです。私たちは時として彼らが「完璧な被害者」であることを想定してしまいます。つまり罪悪感に打ち勝ち、言ったことを必ず実行し、私たちが助けたときに感謝してくれるというような人たちです。
ときどき、私たちが怒ってしまうのは、彼らが害を与える人に対して複雑な心境を抱えているので、その人たちを恐れたり擁護したりと、行ったり来たりしているように見えるからです。そしてアライにとっては何をすればいいのか判断しにくくなるからです。虐待があった場合の影響と介入の難しさによって、暴力を経験してきた人はおびえたり、怒ったり、ガッカリしたり、イラついたり、疲れたり、混乱したりすることがあります。そしてそれは周囲の私たちに不愉快なものに映ることがあるのです。
危害を加える人は時によって、その人の魅力や権力、能力などの力を利用して彼らの虐待的な言動を隠したり正当化したりしようとします。
DVや性暴力といった対人暴力によくある力関係についてより理解を深めることは大切です。そうすることによって、サバイバーや害を与える人が持つ一見すると不可解な態度や行動をよくあることとしてみることができるからです。これはアライがしばしば感じる混乱を説明する助けにもなるでしょう。そして、害を与える人に対する私たちの気持ちを説明する手助けにもなります。暴力に対処し、減らし、終わらせまたは未然に防ぐために適切な行いとは、必ずしも私たちがサバイバーを「好き」であったり、害を与える人を「憎んだり/嫌ったり」することではありません。大切なのはゴールを明確にしたり、暴力と暴力への介入に関する、複雑な力関係を理解する手助けをしたりするものだということです。
第2章2節「対人暴力:みんなが知っておくべき基礎知識」では、このような複雑な感情について更に多くの情報や支援を知ることができます。こうした感情は自然なものです。しかし、私たちがサバイバーを疑ったり、害を与える人の側に立ってしまうような方向に、私たちの判断を誤らせることがあります。
第2章3節「暴力への介入:大事な教訓」に、介入の力関係についての詳しい情報があります。
第4章E節「サバイバーや被害者を支援する」に、様々な条件下でサバイバーを支援するための詳しい情報があります。
第4章F節「アカウンタビリティをを全うする」に、様々な条件下で害を与えた人がアカウンタビリティを果たすための支援について、詳しい情報があります。
訳注1:Counseling Centers
日本とアメリカではカウセリングの保険適用や手法など多くの部分で異なります。
日本よりもアメリカの方が、カウンセリングに対して敷居が低いようです。一つ目のリンクはプロへ助けを求めるときの文化的な違いについて、アジア系およびアジア系アメリカ人と、ヨーロッパ系アメリカ人の間で調査している論文です。
アートセラピーという手法も取られています。2つ目のリンクは米国のアートセラピーの団体です。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3576055/
(2025年3月30日閲覧)
『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』1.8_3このツールキットについてのよくある質問
1.8は長いので、7本の記事に分けてお届けします。
この記事は1.8_3で、このセクションは1.8_7まで続きます。
今回はQ8~Q10の翻訳をご紹介します。
コンテンツ警告
この本では、トラウマやPTSDなどのトリガーとなるコンテンツ(内容)が書かれています。以下の項目に関連する用語が使用されていたり、具体例が掲載されている場合があります。ご自身の体調に合わせて無理なく読み進めてください。
→ドメスティック・バイオレンス(DV)
→虐待
Q8:私の知っている状況のひとつに、このアプローチは適していると思います。しかしファシリテーターが必要だと感じています。ファシリテーターはどうやって見つければいいでしょうか?このようなことができる専門家はいるのでしょうか?また、お金を払う必要がありますか?
現時点では、実際にこのような種類の暴力への介入アプローチに精通している、もしくはこのアプローチを使って支援する準備ができている団体や「専門家」はほとんどいません。私たちが信じているのは、多くの人の身近には、信頼関係のある人や繋がりのある誰かがいて、その人たちがこのツールキットのようなリソースの助けを借りれば、ファシリテーターとしてかなり良い働きをしてくれるということです。彼らはすでに私たちのことを知っているかもしれないし、私たちの文化や言葉になじみがあるかもしれないし、よい結果を望んでくれるかもしれません。このアプローチのなかでは、ファシリテーターは決定を下しませんし、すべてを知っているわけでもありません。ファシリテーターとは、複雑で感情的かつ長期に渡る可能性のあるプロセスの、重しになるような人です。ファシリテーターは質問する手助けをしたり、このツールキットや他のリソースがどこで役立つのかを確認したり、私たちがすでに決めたことを思い出す手助けをしてくれるのです。もしくは、もし私たちがファシリテーターを見つけることができない時は、このツールキットが、コミュニティを基礎とした介入をリードし、組織し、参加する助けになってくれるでしょう。
時間とともに私たちはコミュニティのなかの人が、ファシリテーターやアライなどの役割ができるように、もっと技術を磨いていくことを期待しています。ここでいうコミュニティのなかの人とは、「頼りになる人」、「根っからの助っ人」、信仰指導者、ご近所関係で頼りにされている人、家族の頼れる人、今までリーダーになったことはないけれどもこういうことが得意な人などです。「暴力を終わらせることを日常で使える共通のスキルにする」というのは、私たちのモットーのひとつとしてありつづけてきました。暴力を終わらせ、未然に防ぐことに助力したいという望みと欲求、そして能力は、私たちすべてが持っています。そして将来的には私たちが自分たちのコミュニティと子どもたちに教えることができるものであり、日常的に取り組むことができると期待しています。
第4節「ファシリテーターのためのヒント」で、このツールキットによるあなたのプロセスの多様な要素をどのようにファシリテートするのかについての具体的な提案をご覧ください。
Q9:このツールキットはすごく長いです。専門的な知識のない多くの人がこれを読めるでしょうか?
おっしゃるとおり、このツールキットはとても長いです。暴力への介入は、残念ながら、料理のレシピのように書けたり、10個の簡単なステップに単純化することができないのです。このツールキットは、安全性、ゴールの設定、意思疎通、十分な協働といった、暴力へ介入する多様な状況下における懸念事項を取り入れることを試みています。この本に載っている私たちの経験は、多種多様な暴力の状況があり、実に様々な人々が暴力への介入に関わることになり、本当にたくさんの予想外のことが起きうるということを私たちに明らかにさせました。その起きうるであろう状況を含めて私たちができる最善のことをしたかったのです。私たちはまた、危険な状況に対応することになることと、よくあることとして被害に対処し終わらせるための行動をとると危険が増幅するということを認識しています。
害を加える人たちは、挑発されたり、パワーバランスに変化があるとき、時として脅されているように感じたり、支配感覚が奪われたりしていると感じることさえあります。このような場合、時には危険と不確実性が高まる時期を招く可能性があります。こんな状態になる恐れがあるから私たちは行動しないほうがいいということを言いたいのではありません。私たちはこの状況の解決に向けて更に念入りに備えて、予防措置を確実にする必要があります。ここでの情報の多くやこれらのツールは安全とリスクを考慮しながら行動することに導きます。
このツールキットの文書形式と長さは多くの人にとってアクセス可能なものではないと私たちは理解しています。一般的になじみのない用語を説明するため、そして哲学的な議論や政治的な議論よりも実践のステップに集中できるように言葉をシンプルにしようと努めました。この本を読む人や、パソコンから読む人が、この知識を学んだり理解したりする方法学んだり理解したりする方法が異なる人々の手に届くものになるようにしてくれることを私たちは望んでいます。また人々が、簡単に使うことができ、理解できるようにこのツールキットに付け足し、新しいツールを作ったり、この本のウェブサイトやその他のやり方で、他者とシェアしてくれることを私たちは期待しています。
私たちはまた、人々が危険に陥ったときや、愛する人たちが傷つけられたり他者を傷つけたときに、このツールキットがより強力な意味あるものになることを期待しています。
人々がその個別の状況やニーズに対処するための一節を見つけてホッとすることを私たちは望んでいます。この本全部が必要ではないかもしれませんが、読者自身を支え目標に向かうための役立つ情報を十分に見つけられるでしょう。
Q10:このツールキットは、介入をとても長くて複雑に感じさせますに感じさせます。自分がどのようにこれを引き受けられるのかわかりません。
この本は、沢山の人が関与する場合の介入や、害を与えている人に変化を促す長期的なプロセスを含むように作られています。この前提にあるのは、暴力のパターンが何度も長い時間をかけて、何世代にもわたって築き上げられた態度や行動の結果であるという考えです。従ってこれは、一つの出来事や行動では変わりにくいでしょう。
私たちはまた、小さな行動も重要なステップであると理解しています。たった一人にでも、勇気を出して暴力の状況を話すことが、とてつもなく大きな一歩となるでしょう。自宅に友人を呼び、シェルターのように安全と安心を提供してもらうことは、害を加えている人を変えることにはならないかもしれません。しかし、被害者とその子どもたちにとって安全で癒される環境を提供できるでしょう。誰かの家から安全に銃や武器を取り除くことは、家庭内暴力の典型的な流れを止めることはできないかもしれませんが、深刻あるいは致命的な被害を大幅に減らすことができます。小さな行動が、孤独感、屈辱、恐れを打破するかもしれません。こうした行動は、害を加えている人に対して、人々に見張られていて、サバイバーと連帯しているというメッセージを伝えられるかもしれません。みんなが害を加えている人のことも気にかけ、彼らが大きく変化するためのサポートをすることができるでしょう。
『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』1.8_2このツールキットについてのよくある質問
1.8は長いので、7本の記事に分けてお届けします。
この記事は1.8_1で、このセクションは1.8_7まで続きます。
今回はQ4~Q7の翻訳をご紹介します。
コンテンツ警告
この本では、トラウマやPTSDなどのトリガーとなるコンテンツ(内容)が書かれています。以下の項目に関連する用語が使用されていたり、具体例が掲載されている場合があります。ご自身の体調に合わせて無理なく読み進めてください。
→性差別や性暴力
→ドメスティック・バイオレンス(DV)
→虐待
→子どもの虐待
→女性に対する暴力
→経済的虐待
Q4: なぜ "害を与える人"のような言葉を使うのですか?虐待する人や強姦者と言った方が簡単ではないですか?
このツールキットのなかで私たちは、犯人、違反者、虐待者、家庭内暴力の加害者、強姦者、弱みに付け込んで他人を利用する人、犯罪者、などに加え、これに類する言葉で、加害を行った人に対してそのレッテルを永久に貼るような言葉から距離を取っています。私たちはまた刑事司法制度で使われる言葉からも距離をとっています。私たちが目指すのは刑事司法とは異なったアプローチだからです。このツールキットは、これまで誰かに害を与えたことのある人々の態度や行動の変化を含む変革を後押ししています。そのため、私たちの言葉は変革の可能性を反映したものであってほしいのです。
より深い言葉の定義を知るために、第5章1節「キーワードとその定義」を見てみましょう。
Q5: コミュニティのアカウンタビリティとは、私には私刑や自警主義*1のように見えます。これはあなたたちが意図していることですか?
この本の考え方では、コレクティブやグループの人々がアカウンタビリティのプロセスに関与することはあっても、以下のことを意図した暴力行為を認めません。それは「罰、復讐、報復、同じ思いをさせるため、痛みを感じさせるために傷つけること」です。私たちの目的は、害を与えている人に対し、共感やつながりに基づいた、暴力に対するアプローチと介入の方法を提示することにあります。ここでは害を与えている人をアカウンタビリティのプロセスへと参加するよう、招き入れます。そしてその過程が、最終的には彼ら自身だけでなく、コミュニティに属する他の人々にとっても利益があると理解してもらうことを目指しています。「招待」のイメージは、私たちのアプローチを方向付けています。暴力を止め、被害に対処する初期段階では、たとえ穏やかな形であっても、ある程度の力を行使する必要が生じる場合があります。私たちは、このような圧力を、加害を続けている人に対して、私たちが持つ力や影響力を「活かしながら働きかける」ひとつの手段として考えることもできます。
詳細な情報については、第4章F節「アカウンタビリティをを全うする」
をご覧ください。
Q6:私は被害を受けました。そして私にとってのアカウンタビリティとは、この人に自分がしたことをたくさん後悔させることです。コミュニティのアカウンタビリティは、害を与えている人に対して、自分がしたことを後悔させるために使うことはできないのでしょうか?
申し訳ないと思ったり、後悔を感じたり、恥を感じたりすることは、誰かが自分の有害な態度や行動に責任を持つようになるにつれ、自然に抱く感情かもしれません。しかし、これは私たちが罰や恥ずかしめ、苦痛を与えて後悔するように「確実」に申し訳ないと思ってもらうこととは異なります。私たちの社会では、誰かを後悔させることと、効果的に対処して暴力を停止させるプロセスを作ることの違いを教えられていません。アカウンタビリティと復讐はしばしば混同されます。正義を求めることと報復も混同されます。復讐への欲望はよく理解できるものですが、私たちは人々にこれらの感情を認め、一歩引いて考えるように求めています。また、復讐を支持しない一連の価値観も私たちのコミュニティ対応の基礎としています。
第3章4節「あなたの介入を進める価値観」を読んでみましょう。この節は、価値観を明確にするための議論とツールが書かれています。
第4章D節「ゴールを定める」には、介入とコミュニティのアカウンタビリティの過程における目標を考える際のより多くのサポートについて書かれています。
Q7:クライシスライン*2やシェルター*3、警察など、こういった事に対処する機関はないのですか?なぜあなたたちは人々に関与するように求めるのですか?危険ではありませんか?
私たちが気づいたことと言えば、傷つけられた人々がいちばん初めに頼るのは、多くの場合家族や友達だということです。大抵、最後の手段としてクライシスラインやシェルター、または警察を頼るのです。または、何も頼ることをしないかもしれません。一部の人々、たとえば、無登録移民*4の人たち、既に法的なトラブルを抱えている人たち、または既に警察のターゲットにされている人たち、このような人々にとっては警察に助けを求めようという気持ちにはならないでしょう。
暴力を認識し、減らし、終わらせ、また防ぐこと(それは私たちが「暴力への介入」と呼ぶものです)についての知識や技術を増やし、みんながもっと良い働きができると信じています。もし私たちがコミュニティのメンバーとして、暴力へ効果的に介入できるとしたら、それが深刻になるまで、あるいは被害が大きくなりすぎる前に、すぐ対処できるようになる可能性があります。その時ケアと思いやり(共感)をもって近しい他者に対して行動できるはずです。愛する人たちや分かりあえる人たち、コミュニティを共有できる人たちを、私たちはもっとすばやく手助けすることができる立場にあります。そして、何も起きていないように振る舞ったり、被害者を責めたり、他の誰かがなにかしてくれると望んだりもせず、被害に対して直接、そして断固として対処できるのです。自分たちが生きていきたいと思える健全な場所、すなわち、自分たちの居場所や家族、コミュニティを作ることができるでしょう。
私たちはまた、このような未来を望んでいます。それはアプローチがもっと知られて、このツールキットのような資源が手に届くようになることです。そして、それに応じて、クライシスラインやシェルター注が、暴力が自分たちの家族やコミュニティで起きたときに、私たちのような自分たちで暴力に対処する行動をしたい人たちに、さらなる支援をも提供できるようになることです。第4章-B節「安全を確保する:安全と危険についての懸念に対処する」を参照してください。
訳注1:
自警主義、ヴィジランティズム
◆不可算◆警察に頼らずに自らの手で法を執行しようとする考え方。(出典:英辞郎”vigilantism” )
(2025年11月23日閲覧)
訳注2:
クライシスライン
アメリカでのクライシスラインは突然の強い不安や危険を感じたときに、誰でも24時間相談できる窓口です。自殺念慮、精神的な混乱、依存問題、急な喪失など、家族や友人には話しにくい深刻な悩みに、訓練を受けた相談員が対応します。必要に応じて、警察や救急への連携や、現地での支援チーム派遣も行い、安全の確保をサポートします。
公的なものと非営利/地域団体による支援があります。https://highlandhosp.com/whats-the-difference-between-a-crisis-line-and-a-warmline/
(2025年11月27日閲覧)
訳注3:
シェルター
暴力から逃れた人が、安心して過ごせる一時避難の住まいです。共同生活型や個室型があり、専門スタッフが生活再建のサポートをします。
シェルターでできること・受けられる支援
数週間から数か月のあいだ、一時的に生活できる安全な宿泊場所が確保される
専門スタッフが常駐し、新しい生活に向けた手続きや支援(住居探し、法的相談、子どものサポートなど)をしてくれる
同じ経験を持つ人と安心して過ごせる、落ち着いた環境
安全のため、場所は非公開で、持ち込める荷物も最小限です。まずは安全な家族・友人宅など、他の選択肢も含めて相談員が一緒に考えてくれます。
日本の女性のためのシェルターは全国女性シェルターネットを参照してください。
https://nwsnet.or.jp/
(2025年11月27日閲覧)
訳注4:
無登録移民
在留資格をもたない移民を指す際、日本において従来用いられてきた「不法移民」「不法滞在者」といった表現は、人の存在そのものを「不法」と形容する点で正確さを欠くとされています。
正規の在留資格を持たずに日本へ滞在することは、行政法の範疇に属する入管法違反という行為・状態を指すものであり、「移民という人の存在そのもの」が刑事的な意味で「不法」であるかのように扱われることは適切ではありません。
このような背景から、1975年の国連総会決議以降、国際的には人の存在を犯罪性と結びつけない表現として、“irregular”(非正規)や “undocumented”(無登録・未登録、書類のない)といった語が一般的に用いられています。
https://migrants.jp/news/others/230601.html
(2025年11月27日閲覧)
『クリエイティブ・インターベンションズ・ツールキット』1.8_1 このツールキットについてのよくある質問
1.8は長いので、7本の記事に分けてお届けします。
この記事は1.8_1で、このセクションは1.8_7まで続きます。
今回はQ1~Q3の翻訳をご紹介します。
コンテンツ警告
この本では、トラウマやPTSDなどのトリガーとなるコンテンツ(内容)が書かれています。以下の項目に関連する用語が使用されていたり、具体例が掲載されている場合があります。ご自身の体調に合わせて無理なく読み進めてください。
→性差別や性暴力
→ドメスティック・バイオレンス(DV)
→虐待
→子どもの虐待
→高齢者の虐待
→女性に対する暴力
→経済的虐待
1.8_1 このツールキットについてのよくある質問
ここでは、このツールキットについてと、暴力に介入するためのコミュニティを基盤とした手法についてのよくある質問を紹介します。以下をご覧いただくと、あなたが抱いたものと同じ質問が見つかるかもしれませんし、これらの質問があなたをこのツールキットの要点へと導く手助けになるかもしれません。各質問の後に、短い回答と、さらに読むべきおすすめの章を記載しています。
Q1. 対人暴力とは何ですか?
私たちは対人暴力を、人間関係のなかで起こる暴力の類型であると定義しています。これには以下のようなものが含まれます。
- ドメスティック・バイオレンス(DV)もしくは、デートDV、親密な関係や婚姻関係、事実婚、交際関係や、元恋人や元配偶者などといった関係性において起きる暴力。
- 家族内暴力。親密なパートナー間でのDVを含みうるものです。しかし、子ども、両親、孫、祖父母、その他の親族や、また他の近しい人々、たとえば家族の友人、後見人、介護者/介助者なども含まれます。
- 性暴力。望ましくない性的なふるまい*1、接触や行動(性暴力、レイプ、セクシャルハラスメント、子どもへの性虐待など)。
- 児童虐待。子どもに対して行われる全ての種類の暴力。
- 高齢者虐待。高齢者に対して行われる全ての種類の暴力。
- 上記に挙げた以外の暴力の種類についてももちろんCIは重点的に取り組んでいますが、このツールキットは、近隣地域やご近所づきあい、学校、各種団体、職場、そして雇用関係など、他の状況下での暴力を経験している人びとにも役に立ちます。こういったかたちでの暴力もまた人間関係によるものだと考えられます。
暴力は身体的、精神的、性的、経済的、またその他のかたちをとります。
第2章2節「対人暴力:みんなが知っておくべき基礎知識」をチェックしてみてください。
Q2: 対人暴力に対するコミュニティを基盤とした介入とは何ですか?
端的に言えば、CIが定義した暴力に対するコミュニティを基盤とした介入とは、
- 対人暴力に対処し、減らし、終わらせ、また予防しようと努めることであり(もしくは、私たちはそれを介入を呼びます)
- 警察や社会福祉事業に頼るよりも、コミュニティの持つ資源を使うものであり、
- 友人や、家族、同僚、ご近所さん、もしくはコミュニティのメンバーを直接巻き込むものであり(私たちがコミュニティと呼ぶもの)、
- 害を与える人や人々に直接対処する(あるいは関わりあう)可能性のあるものです。
第2章1節「対人暴力に対するコミュニティを基盤とした介入とは?」と、第3章1節「モデルの概要:このモデルはあなたに合うものでしょうか?」により詳しい情報があるので、読んでみてください。
Q3:アカウンタビリティとはどういう意味ですか?
簡単に言えば、アカウンタビリティとは、暴力を認識し、終わらせ、問題などが発生したときに、その責任が自分にあることを認め、状況の説明、原因の究明など、事後の対応など対策を取る責任を引き受ける力のことです。私たちは大抵、暴力の責任は加害をする人にあると考えます。コミュニティのアカウンタビリティは、コミュニティが暴力を無視したり、軽視したり、時には助長したりすることについて責任があるということをも意味します。コミュニティもまた、暴力を認識し、終わらせ、責任を引き受けなければなりません。それは、暴力に対して介入するために、さらに知識を深め、技術を身につけて、暴力を未然に防ぐ社会の規範や状況を支えるための行動を起こすことです。
アカウンタビリティはひとつの過程です。そこには聞くこと、学ぶこと、責任を引き受け、変化することが含まれています。安全と敬意、幸福を目指して、私たちの家族やコミュニティのうちに直接的な対話、被害を理解し修復すること、エンパワーメントと権力の平等な分配のための再調整、関係性とコミュニティの再構築の機会を意識的に作り出すことが含まれています。
クリエイティブ・インターベンションズでは、アカウンタビリティについてこれまでとは異なる考え方を推進しています。私たちが掲げるのは、より積極的で、責任と変化に結びつきながらも、罰や復讐には結びつかず、恐怖や怒りだけでなくつながりとケアによっても動かされる可能性があるビジョンです。これは、暴力や虐待が恐怖、怒り、憤りを引き起こす事実を否定するものではありません。それらの感情は存在します。そして、そうした感情が存在するべき場面もあります。
しかし暴力が共感、安全、敬意、心身の健康へと変わっていくためには、その変化は、私たちが実現したいと願う価値観にも基づいている必要があります。それは私たちが暴力に直面しているときには、そう感じるのがけ難しいかもしれません。そして、私たちはアカウンタビリティを、罰し、引き離し、追放するための手段ではなく、コミュニティを維持し、安全で健康的なものに保つための方法として推進しています。
これは、サバイバーや被害者が加害者を赦す必要があるとか、単に謝罪を求めればすべてが解決するとか、親戚や家族は一緒にいなければいけないという意味では決してありません。赦すことや謝罪、関係を続けることは、一部の人々が望むかもしれず、また実現の可能性があることかもしれませんが、これらはいずれもアカウンタビリティの定義には当てはまりません。
アカウンタビリティはひとつの過程です。私たちは、アカウンタビリティを変化への階段のように捉えています。私たちはこの階段を使って、アカウンタビリティに向かうステップと積極的で変革的な変化のビジョンを示していますが、介入はこれらのステップのいずれにも到達しない可能性があります。介入のめやすとしては、以下に書いてあるStep1に到達すること自体がゴールだと予想される場合もあります。

アカウンタビリティの階段
6 コミュニティの健全な一員になる
5 暴力を繰り返さないために、有害な態度や行動を改める
4 与えた害を修復する
3 たとえ意図的でなかったとしても、言い訳せずに暴力の結果を認識する
2 暴力を暴力として認識する
1 目の前の暴力を止める
*1:訳注:
「Associations between Cues of Sexual Desire and Sexual Attitudes in Portuguese Women」
「性的態度(Sexual attitudes)とは、個人が性や性的行動に対して持つ態度のことを指します[13,14]。これらの態度は、家族や文化的な性に関する観点、性教育、および過去の性的経験の影響を受け、個人の性的行動に現れます。」(下記の本文から抄訳しています。)
Sexual attitudes refer to the attitudes one has toward sexuality or sexual behaviours [13,14]. These attitudes, manifested in a person’s individual sexual behaviour, are influenced by family and cultural perspectives about sexuality, by sexual education, and by prior sexual experiences [15].
この文における "unwanted sexual attitudes"(望ましくない性的な態度) とは、相手の同意を無視したり、性的な不快感を与えたりするような考え方や振る舞いを指します。これは直接的な身体的接触を伴わない場合もあり、次のようなものが含まれます。
性的な発言やコメント(例:「性的な冗談」や「見た目に関する不適切な発言」)
性的な視線やジェスチャー(例:「じろじろ見つめる」「いやらしい仕草をする」)
性的な価値観の押しつけ(例:「性的役割を強制する」「性的関心を持つべきと圧力をかける」)
性的な環境の強要(例:「ポルノや性的なコンテンツを見せる」「性的な話題に無理やり巻き込む」)
これらの態度は、被害者に心理的・精神的な苦痛を与え、性的暴力の一環とみなされることがあります。
「Unwanted sexual behaviour: what can you do?」
https://www.ugent.be/student/en/study-support/trustpunt/unwanted-sexual-behaviour
(2025年4月29日閲覧)
「被害にあったと感じたときにできること:
- 自分の境界線をはっきりと伝える。
「私は、この行動をやめてほしいです。」と伝える - 安全な場所へ移動する。
友人、家族、警察署、病院、あるいは自分が安全だと感じる場所にできるだけ早く向かってください。」(下記の本文から抄訳しています。)
What can you do yourself?
Were you too surprised or shocked at the time to respond? Know that it is never too late to intervene, even as a witness. Maybe you doubt whether the other really went too far. Also in that case: don't get stuck with it. As soon as you didn't feel comfortable, it helps to talk about what happened. You can do this when you feel like a victim:
- Clearly define your boundaries. You do that with an assertive I message, such as: "I want you to stop this behavior." Not sure how to best approach this? Trustpunt helps you with this.
- Get yourself to safety. Go to a friend, family member, police station, hospital, or any other place where you feel safe as soon as possible.